悪天候下での自動運転
雨や降雪、霧などの悪天候下では自動運転に必要不可欠なセンサであるLiDARにノイズが生じる。これにより物体検出や自己位置推定といった自動運転システムの下流タスクの精度が低下する問題がある。当研究室では悪天候で生じるノイズの除去について研究をおこなっている。
悪天候ノイズ除去の提案手法
強度, 距離, 高さにおける除去に加えて密度による除去を行った結果, 非ノイズ点の除去を削減できた。
様々な悪天候ノイズを単一のフィルタで動的に対応するため, 天候の種類によって強度, 距離, 高さの3つの閾値を動的に決定し, その閾値と密度による除去を組み合わせてフィルタリングを行う。
提案手法により, 天候の種類や度合いにも動的に対応可能になり, 既存手法と比較し高い除去精度を達成した。
自動運転への有用性
提案手法のノイズ除去にかかる時間は約37ミリ秒(約27FPS)であり、リアルタイム性が求められる自動運転システムにも導入可能な処理速度を実現している。
また、降雪ノイズの除去前後のデータに対して車両検出を行った。その結果、除去前ではノイズに埋もれて検出できなかった車両が、ノイズを除去することで明瞭に可視化され、正確に検出できていることが確認された。
死角環境を考慮した自己位置推定
3D LiDARを用いた自己位置推定は死角の影響を受けて精度が低下してしまうことが知られています。例えば、走行中に他の車が並走するようなシーンは頻繁に起こります。そのような状況では並走した車が死角となり,LiDAR点群が欠損しマッチングが失敗してしまう可能性があります。この研究では、LiDARに生じた死角がスキャンマッチングにどれくらい影響を与えるのかを分析し、共分散として活用することを目的として取り組んでいます。
実世界情報を考慮した歩行者起動予測
歩行者の行動を正確に予測し、リアルタイムに走行判断することが自動運転システムにおいて重要な課題になっています。しかし、従来の歩行者軌道予測システムは、歩行者の行動から単純な予測軌道を生成します。これによって非現実的な軌道予測をしてしまい、自動運転車の不要な減速と停車を誘発してしまう問題があります。歩行者の軌道予測をより正確に行うために、Pedestrian Intention Estimation(PIE)のデータセットで目線角度、信号機の色、交通サインなどのアノテーション情報を活用し、歩行者の軌道予測モデルを開発します。具体的には、歩行者のセグメンテーション画像を利用し、横断意図を表す値と歩行者の予測軌道を組み合わせることで、より正確な予測軌道の生成を目指します。