AUTO 

研究紹介

雨や降雪などの悪天候では自動運転に必要不可欠なセンサであるLiDARノイズが生じる。これにより物体検出や自己位置推定といった自動運転システムの下流タスクの精度が低下する問題がある。当研究室では悪天候で生じるノイズの除去について研究をおこなっている。

降雪下で収集されたLiDARデータセットを利用して降雪ノイズを分析した。その結果、降雪ノイズには以下の3つの特徴があることがわかった。

① 極めて低い信号強度

② LiDARから近い距離に密集

③ LiDARが設置された高さ(Z座標)付近に密集

これらの特徴を利用することで、既存手法よりも高精度かつ高速な除去が実現できた。

降雪ノイズの除去前後のデータに対して車両の検出をおこなった。その結果、除去前では降雪ノイズに埋もれて検出できていない車両があるが、本手法を適用して除去することで、適切に検出できていることが確認できる。 

3D LiDARを用いた自己位置推定死角の影響を受けて精度が低下してしまうことが知られています。例えば、走行中に他の車が並走するようなシーンは頻繁に起こります。そのような状況では並走した車が死角となり,LiDAR点群が欠損しマッチングが失敗してしまう可能性があります。この研究では、LiDARに生じた死角がスキャンマッチングにどれくらい影響を与えるのかを分析し、共分散として活用することを目的として取り組んでいます。 

歩行者の行動を正確に予測し、リアルタイムに走行判断することが自動運転システムにおいて重要な課題になっています。しかし、Autowareなど現状の歩行者軌道予測システムは、歩行者の行動を線形な予測軌道として扱います。これによって非現実的な軌道予測をしてしまい、自動運転車の不要な減速と停車が発生してしまう問題があります。歩行者の軌道予測をより正確に行うために、Pedestrian Intention Estimation(PIE)のデータセットで目線角度、信号機の色、交通サインなどのアノテーション情報を活用し、歩行者の軌道予測モデルを開発します。具体的に、歩行者のセグメンテーション画像を利用し、横断意図を表す値と歩行者の予測軌道を組み合わせることで、より正確な予測軌道の生成を目指します。